裁判例(昭和62年4月22日最高裁判所判決)

<判決要旨>

共有者が共有物分割請求をして裁判になった場合で、裁判所が現物分割をするときは、次のような態様で分割することも許される。

・各共有者の持分の価格に応じた分割をしても、なお各共有者の取得する現物の価格に過不足を来すような場合に、持分の価格を超える現物を取得する共有者に当該超過分の対価を支払わせて、過不足の調整をする。

・分割の対象が多数の共有不動産である場合に(これらの不動産が外形上一団とみられるときはもとより、数か所に分かれて存在するときでも)、これらの不動産を一括して分割の対象とし、分割後のそれぞれの不動産を各共有者の単独所有とする。
 このような場合に、金銭で過不足の調整をする。

・多数の共有者のうちの1人が共有物分割請求をした場合に、当該請求者に対してのみ、持分の限度で現物を分割し、その余は他の者の共有として残す。

弁護士西川将史のコメント

共有者が共有物分割請求をして裁判になった場合で、裁判所が現物分割をするときの分割の具体的態様については、上記判決が示すとおり、比較的柔軟な処理が認められています。